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地球温暖化ニュース

2005年
4月

自民党「環境税を推進する若手議員の会」
NPO国産材と日本生協連に意見聴取

自由民主党の「環境税を推進する若手議員の会」は、特定非営利活動法人国産材(NPO国産材)の榎戸正人理事長と日本生活協同組合連合会の大沢年一環境事業推進室長、佐藤孝一渉外担当部長を党本部に招き、意見聰取を実施、当日は約30人の議員が参加した。

意見聴取では、NP0国産材の榎戸理事長が「日本の山林は国産材需要の低迷と価格氏下で、間伐などの手入れがされず、極めて荒廃している」としたうえで、京都議定書では1990年比6%の二酸化炭素削減を目指し、そのうち3.9%を森林が担うと想定しているが、現在の日本の山林は到底その数値を達成できる状態にはなく、目標達成には今後5〜6年で集中的な闇伐、手入れや再造林、鹿などの食害対策をする必要がある」と言及。(林材新聞)



3月

京都議定書発効を基に改めて国産木材の活用に注目

二酸化炭素の排出量を減らすことなどを定めた京都議定書が先月発効し、国産木材を使った身近な製品があらためて注目されている。国産木材を使うことが国内の林業を支え、森林を育て、二酸化炭素の吸収につながるからだ。

日本木材学会会長で京都大教授の川井秀一さんは「家庭でできる地球温暖化防止策というと、まず『省エネ』が思い浮かびますが、国産木材の商品を積極的に買うことでも貢献できる。身近な国産木材使用製品にぜひ関心を持ってほしい」と話している。



読売新聞ニュース速報
http://www.yomiuri.co.jp/


1月

温暖化防止には森林が費用対効果が高い

地球温暖化問題を取り扱う米国のピューセンター(Pew center)によれば、森林による大気からの温室効果ガス除去にかかるコストは、燃料の切り替えやエネルギー効率の向上により除去する手法と同等だという。 報告では、大幅な森林面積の拡大を目指すプロジェクトにより、大気から除去できるCO2量は年間3億トン。そのコストは1トンあたりUS$25〜75と試算。
しかし、米国におけるCO2の年間排出量の1/5を除去するにはテキサス州の面積にほぼ等しい約1億4,800万エーカーが必要とされ、そのコストは年間US$70億以上で、実現には困難が伴う。1/19 

http://www.reuters.co.uk/newsArticle.jhtml?type=worldNews&storyID=657095


2004年

12月

中国電が間伐材で発電実験 下関発電所

 中国電力は21日、木くずや間伐材などの「木質バイオマス」を燃料の一部に使って発電する実験を、山口県下関市の下関発電所一号機で始めた。2006年3月末まで続け、安定した燃焼エネルギーが得られるかを調べる。
 再生可能な植物を燃料にすることで二酸化炭素(CO2)の発生が抑えられる見込みで、同社は「出力100万キロワットの石炭火力発電所で木質バイオマスを3%混ぜた場合、削減効果は年間約10万トンに相当する」と説明している。
 実験に使う木材約1400トンは、山口県が無償で提供。スギやヒノキ、竹の間伐材や廃材などをチップにして石炭と混ぜ、さらに細かく粉砕してボイラーで燃焼させる。
 実験結果を基に、来年後半からは出力の大きい新小野田発電所(山口県小野田市)でも実験し、数年以内の実用化を目指す。


 

11月

森林育成で地域活性化を 環境林シンポ

 地球温暖化防止など環境対策の森林整備を、都市と地方が一体になり進めようという環境林創造シンポジウムが17日、東京都内で開かれ、森林育成による地域活性化などをめぐり意見交換した。
 シンポジウムは、主催した和歌山県の木村良樹知事のほか、環境対策として林業育成に取り組む岩手県の増田寛也知事、三重、高知両県の林業関係者らが出席した。
 木村知事はパネルディスカッションで「温暖化対策や都市住民に憩いの場を与える森の育成が新たなビジネスチャンスを生み、深刻化する林業不振打開の鍵にもなる」などと強調。
 増田知事は、廃材を砕き圧縮した固形燃料で、バイオマス(生物資源)の一種として注目される「木質ペレット」を使ったストーブ販売で、県と地元林業者が協力している例などを紹介した。
 また、都市を離れ高知県香北町の香美森林組合で伐採作業などに当たる研修生の様子が映像で紹介された。

 

CO2森林吸収分を下方修正 農水省、温暖化対策で

 農林水産省は29日、2012年時点での国内の森林による二酸化炭素(CO2)吸収量が、京都議定書の温室効果ガス削減目標の達成に必要な1990年総排出量の3・9%を大幅に下回り、最悪の場合は2・6%にとどまるとの試算を林政審議会に報告した。
 植林など森林経営の予算不足がその理由で、林業団体からの予算要望を受けた形。同省は年間2000億円もの追加財源確保のため、環境税を創設するよう求めている。
 ただ、経済産業省は環境税抜きで省エネや物流効率化などへの予算投入を提案しており、財源をめぐる綱引きが活発化しそうだ。
 試算によると、3・9%の削減目標達成に必要な森林面積は計2510万ヘクタール。これまでは、このうち3・1%分に当たる2180万ヘクタールが整備可能で、植林などの追加対策は0・8%分で済むとみられていた。しかし、昨年度と本年度に補正予算が見送られたため事業規模が縮小。現状では2・6%分の1990万ヘクタールしか整備できない見通しとしている。

 

75%は森林破壊が原因 ブラジル排出のCO2

 【リオデジャネイロ9日共同】ブラジルが排出する二酸化炭素(CO2)のうち75%が、アマゾンを中心とする森林破壊で発生していることが、同国政府が初めてまとめた温室効果ガス排出の実態についての報告書で分かった。9日付のグロボ紙などが報じた。
 1994年にブラジルが排出したCO2の総量は、約10億トンで世界5位に相当するという。
 報告書はアルゼンチンで開催中の気候変動枠組み条約締約国会議(COP10)に提出される。地球温暖化防止のための京都議定書は途上国にガス排出の削減を義務付けておらず、ブラジルの報告で、途上国の削減も義務化すべきだと主張する先進国が勢いづきそうだ。
 世界最大の熱帯雨林アマゾンの森林は農地や牧草地への転用が進み、昨年も秋田県の面積の2倍以上の約2万4000平方キロが消失した。
 調査にかかわった研究者によると、森林破壊で排出されるCO2のうち約4割は森林を焼くことにより発生、残りは伐採された樹木の腐敗が原因という。



10月

木材の輸送距離4割延びる 二酸化炭素排出も増加

 日本で使われる木材の産地からの平均輸送距離が1990年の5085キロから2002年は7074キロに約4割延びていることが27日、森林総合研究所の藤原敬理事らのグループの試算で分かった。割安な輸入製材へのシフトが強まっているのが原因。
 長距離輸送による燃料消費のため、1立方メートルの製材を入手する過程で排出される二酸化炭素(CO2)量も90年の105キロから02年は143キロに36%増えていた。藤原理事は「地球温暖化防止など環境負荷軽減のためには、木材利用の際に輸送距離を考慮する必要がある。消費地に近い地域の木材を見直すべきだ」としている。
 一方、国産材の活用割合を高めた場合、CO2排出がどの程度減るかも計算した。木材の消費総量を02年と同じ約2400万立方メートルとして、国産製材供給量を02年度の約780万立方メートルから、政府の森林・林業基本計画目標が2010年の目標としている1260万立方メートルへと6割増やすと、1年間のCO2排出総量は約50万トン削減される。製材1立方メートル当たりCO2排出量では14%減になる。
 試算は、日本で住宅建築などに使われている輸入丸太や製材と国産材の産地、供給量などのデータを基に、産地から消費地までの平均輸送距離や、CO2の排出量を求めた。輸送に伴うCO2排出量を数値で示し、地元産木材の消費拡大を目指す取り組みは、京都府などで始まっている。



9月

ブナの適地が1割以下に=中国、四国、九州ほぼ全滅

 地球温暖化が進めば、21世紀末には国内でブナの生育に適した地域が現在の1割以下の約2300平方キロに減少、中国、四国、九州ではほぼ全滅するとの予測を、独立行政法人森林総合研究所(茨城県つくば市)のチームが25日までにまとめた。
 担当した同研究所の重点研究支援協力員の松井哲哉さんは「ブナの落ち葉や実は森の動植物の大切な栄養分。森の生態系全体に影響を与える」と話している。
 研究チームは地球温暖化に関する研究者でつくる「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)のデータを基に、2090年代の国内の平均気温が現在より3・6度上がると想定。



6月

「緑の雇用」事業の拡充を 和歌山など8県が提言  

和歌山、高知など8県は10日、農水省などに対し、森林整備を進めるため、林業の担い手を育てる国の「緑の雇用担い手育成対策事業」の拡充を提言した。
 8県は2県のほか岩手、宮城、岐阜、三重、鳥取、福岡の各県。提言は森林整備と林業の担い手育成は、地球温暖化対策や国土保全のため、今後役割の重要性が増すと指摘。
 その上で(1)事業で行っている就業研修の期間を現在の1年から複数年にし、受講者の技術向上を図る(2)温暖化対策や災害防止などの役割を重視する森林を環境林と位置付け、適切な間伐と植林を進める−−などを求めた。
 都市部を離れ山間地域に定住する人を対象にした、住宅助成などの支援制度創設も提案した。
 緑の雇用担い手育成対策事業は、林野庁が2002年度に創設。国の全額補助で都道府県の森林組合連合会が就業研修を実施している。同事業でこれまで約2000人が林業に就いた。

森林保全計画を閣議決定 造林だけでなく環境も重視

 政府は8日、造林や林道整備などの森林整備事業と土砂崩れ防止や水源林保全など治山事業の両計画を統合し、総合的に実施する初の森林整備保全事業計画(2004−08年度)を閣議決定した。
 これまで森林整備と治山の事業計画を個別に策定してきたが、森林整備に造林だけでなく、防災や環境などの役割も求められるようになったため、両事業計画を一本化することにした。
 間伐が適切に行われ、保水機能が良好な状態の森林の割合を現在の63%から66%に伸ばすことや、総延長7000キロの海岸林(防風林)を保全することなどの成果指標を定めた。
 林野庁は計画実施で、森林の二酸化炭素(CO2)吸収能力を高め、京都議定書で定められたCO2など温室効果ガスの排出削減目標の達成に貢献する考えだ。


森林、干潟の消失分を造成 国交省、公共事業で新手法

 公共事業で森林と干潟は減らしません−−。国土交通省は19日までに、道路や河川、港湾整備などで失われる森林や干潟、海草の生えた藻場などと同じ分を、新たに植林したり干潟などを造成して補う制度の検討を始めた。「グリーン・バンキング・システム」として、2005年度予算の概算要求に具体的な制度づくりの費用を盛り込む方針。
 地球温暖化対策に重点を置き、原因物質の二酸化炭素(CO2)を吸収する緑の量を減らさないようにする狙い。しかし、生物の生息環境を守る視点からは、同じ面積の森林や湿地、藻場でも人工的なものは環境が悪いケースが多く、公共事業を進めるための制度になれば、自然保護団体から強い批判が出そうだ。
 制度は、国が実施する直轄事業を対象に首都圏など一定の範囲を設定。森林では計画的に公園や空き地の緑化を進める。今ある森林を道路に変える場合は、失われる森林と同じ量の森林を貯蓄(グリーン・バンキング)して確保しなければ整備できない仕組み。森林によって木の密度、種類や成長の過程などでCO2吸収量が異なるため、森林の面積だけ同じにすればいいか、吸収量まで同じにするかなどが検討課題だ。
 自然を破壊せざるを得ない公共事業では、これまで道路のルートを変更したり、埋め立て面積を縮小するなどして環境への影響を軽減してきた。一方で、人工干潟づくりなど自然再生も始めている。



5月

廃木材からメタノール製造 中部電、初の試験設備稼働

 中部電力は13日、ダムの流木など廃木材から、軽油などの代替エネルギーとなるメタノールを造る国内初の試験プラントを三重県川越町の川越火力発電所に設置し、17日に運転を始めると発表した。
 国内から調達できる木質系のバイオマス(生物資源)を活用し、輸送や貯蔵が簡単で燃料電池や自動車の燃料にもなるメタノールを製造、環境負荷を低減するのが狙い。数年以内の実用化を目指している。
 試験ではまず、製材時の端材や伐採木、水力発電所のダムにたまる流木といった廃木材を微細粉にする。酸素と水蒸気を加えて約1000度の高温のガス炉で燃やしてガス化。さらに高温高圧化で反応させて液体にする。
 プラントは11月まで毎月1週間程度運転し、1日当たり2トンの廃木材から、20リットルのメタノールを製造。ガス炉の性能やメタノールの成分分析、廃木材の調達経費調査などを進める。
 この事業は独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託。三菱重工業、独立行政法人の産業技術総合研究所と共同で取り組んでいる。

バイオ炭素基金の運用開始 世界銀行、植林など支援

 世界銀行は14日、開発途上国への植林支援などを通じて温室効果ガスの削減を行う「バイオ炭素基金」の運用を、日本企業やカナダ政府などの出資を受けて開始したと発表した。
 東京電力が同日、250万ドル(約2億9000万円)の出資を表明。すでに同額の出資を決めている沖縄電力、カナダ、イタリア両政府と合わせ1000万ドル(約11億5000万円)規模でスタートする。具体的には、中国やマダガスカルでの森林再生、メキシコでの農林事業など十数件の計画に投資する。
 貧しい国の環境保全と、先進国の温室効果ガス削減の両立を狙った仕組み。京都議定書の発効を見越したもので、出資者は事業で達成された削減分の一部を、自分の排出量として獲得できる見通し。



4月

国産材の利用拡大訴え 03年度森林・林業白書

地球温暖化対策の一環として政府が進めている国内の植林活動について、農水省は「政府目標を達成するのは非常に厳しい」との見通しを、7日の中央環境審議会地球環境部会に報告した。
 政府は京都議定書が定める1990年比6%の二酸化炭素(CO2)排出削減量のうち、3・9%を植林などによる森林吸収分でまかなう計画。目標達成が難しくなったことで政府は、新たな削減対策が求められそうだ。
 政府の計画では、2010年度の達成目標面積は、植林など約1750万ヘクタール分。だが同省が植林実績をもとに試算したところ、面積は約1400万ヘクタールにとどまり、削減量の3・1%しか担えないことが分かった。CO2吸収量に換算すると、目標より1000万トン少ない3800万トンになる。
 農水省は「林業振興のための予算確保が難しいのが原因」と説明している。